いよいよ11月9日・10日に甲子園球場を舞台に「第15回マスターズ甲子園全国高校野球選手権第100回記念大会」が開催され、東京都代表として国学院久我山高校OBが参加します。

 今回はマスターズ東京連盟のホームページ特別企画として、過去に東京代表の監督・代表を務めた小平高校OB酒井宏志さん、立川高校OB林茂智さん、日体大荏原OB倉本直さん、そして国学院久我山OBの田代政弘さんに集まっていただいて、甲子園での戦い方の特徴、参加しないと気づかないキーポイントなどを中心に存分に語っていただきました。
(進行・小平高校OB澤田晃)

 

まずは各校出場時の思い出や予選のエピソードを聞かせて下さい!

澤田(進行今日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
皆さんには国学院久我山の田代監督をいかに勝利監督にするかということを目的にお集まりいただきました(笑)
古い記憶も思い出して、ざっくばらんにお話が出ればいいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いしますね。田代さんもたくさん質問して、甲子園での采配に大いに役立てて下さい。
それでは、早速ですが各校の出場時の思い出や当時の予選のエピソードなどを聞かせて下さい。
酒井(小平):私は2008年に甲子園に東京選抜として出場した時の監督を務めました。
その当時はマスターズ甲子園に初加盟したタイミングだったので、予選会もまだ手探りで実施しているような時期でして。これはもう思い出と呼べるようなものじゃないんですが、あの頃はルールも今ほど整備しきれていなくて、20歳前後のピッチャーの登板もありましたし、審判も私が主審を務めるような状況でした。
それで若いピッチャーの投げる、ものすごい伸びのあるストレートが相手チームの腕にドスンと当たっことがありまして。
その光景が今でも目に焼き付いていて、こりゃちゃんと投手の年齢制限も作らなければ危ないなぁ、なんてことを実感したのをよく覚えていますね。
甲子園の本大会には当時加盟してた8校の選抜チームで出場しました。甲子園球場の改修工事の影響で、通常の11月開催でなくて6月の梅雨時に開催。相手は宮崎県代表の日向学院でした。
試合というよりは実はその前のメンバー決めが大変でしたね。各校の人数を事前に決めてはいたのですが、大会直前になって急きょ仕事の都合などで変更の嵐になってしまいまして。選抜チームだから誰がどんなポジションなのかも明確には分からない。それでも何とか全員を使わないとということで監督としては非常に苦労しました。その時はもう選抜チームなんてやりたくないって思ってしまいましたよ(笑)
でも、やっぱりそこで連盟として一つにまとまれたとも思いますよ。帰りの新幹線でもすごく盛り上がって、反省会という名のただの宴会がほうぼうの座席で開催されましたね
別々の学校のOB同志が、こんなに腹を割って一つになれるのも選抜チームの醍醐味だと実感しました。
澤田(進行)確かにね。朝早くに大きな荷物持って東京駅に集合して、みんなで新幹線で移動して、まるで遠足だが修学旅行みたいだったよな(笑)
林(立川)私たちは甲子園には2012年と2016年に参加しました。五輪イヤーは立川の出場年だと思っていますので、次の出場は2020年ですね。あ、2020年は東京の枠がないのか(笑)
予選大会では2016年の大会で修徳相手に7点差を逆転したのは思い出です。それまでの立川は前半にリードして、なんとかそれを保って後半も逃げ切るという展開が多かったんです
でも前半戦に7点差をつけられて、こりゃ厳しいなと思っていたら、なんと後半の35歳以上で大逆転。これで波に乗って2016年の予選は優勝できたと思っています。
あとは安田学園との試合で同点で時間切れになってしまいじゃんけん大会になったこともありました。それも最初に3連敗して、後がなくなってから連勝して最後は勝利。その時も、ものすごい盛り上がりましよね。
酒井宏(小平)じゃんけん大会って不思議だよね。最初リードしても結局最後は絶対に接戦になるっていう。
どうしても球場の時間の都合で仕方がないんだけど、でも実は一番盛り上がる瞬間かもしれないな。(笑)
林(立川)甲子園大会では2012年が熊本県代表の八代東、2016年も熊本県代表の九州学院が相手で、1分け1敗です。次に出られたら、今度こそ勝ちますよ!今回の国学院久我山も九州勢が相手ですね、頑張ってください!
倉本(日体大荏原)私たちは加盟初年度に優勝して甲子園に行くことができました。最初の年は5月にOB会の総会でマスターズ東京に参加することが決まって、すぐに6月が初戦で相手が同じ初加盟の修徳でした。
初めてなのでルールもよくわかっていないのに鼻息荒く球場に行きまして、そこでユニフォームや背番号を配ったのをよく覚えています。次の小平戦にも勝利して、準決勝の安田学園戦はサヨナラ勝ち、決勝の立川戦も7点差を付けられてからの逆転、最後はゲッツーで試合終了と本当に劇的な1年間でした。
甲子園では広島県代表の広島工業と対戦で、惜敗しましたが滝本選手がレフトのポール際に本塁打を打ちました

澤田(進行):日体大荏原は人数多いよね、最初の頃は70人くらい来て、試合前のあいさつが外野まで並んじゃうっていうのもあったよね。
倉本(日体大荏原):そうなんです。だから監督も一生懸命試合に出そうと、とっかえひっかえして最終的に誰が出てるかよく分からなくなっちゃうんですよ。
でもおかげさまで人数も増えてきて、いい雰囲気で野球をやらせてもらっていますよね。感謝しています。
田代(国学院久我山):我々の予選での思い出は2017年の日体大荏原・立川の両試合でしたね。本当に接戦でしびれました。
でも一番の思い出は加盟初年度2016年の初戦・二松学舎大付との試合です。これが野球か、と思うような大敗を喫しました。(2-20)
試合後に酒井会長に励ましてもらいましたよね。
酒井(小平):田代さんは本当に試合後に申し訳なさそうな顔をしてましたね。でも全然気にすることないんです、マスターズではよくあることですから。
田代(国学院久我山):そうは酒井さんはおっしゃってくれましたけども、それでもあれはショックでしたよ。
ただあの試合でマスターズのレベルが把握できて、うちもメンバーさえ揃えばなんとか戦えると思ったのも事実です。
ですから恥をしのんで母校の部誌にマスターズの結果を掲載して、若手メンバーの参加を促したんです。
それからメンバーが集まるようになって、OB会も活性化しましたね。
酒井(小平):それで翌年には優勝だから、すごいよね。
うちの野球部も同じことしているんだけど、なかなかメンバーが集まらない。。

本大会では各チームどのような苦労がありましたか?

澤田(進行):小平も最近は若手が頑張ってるし、これからだよ。頑張ろうな!本大会では皆さんどんな苦労がありましたか。田代さんの参考になるとよいのですが。
酒井(小平):マスターズ甲子園では前夜祭がありまして、そこで対戦する学校にも会うんです。
我々の時はマスターズでも常連の九州代表が相手ということもあり、実は前夜祭で結構圧倒されたんですよね。
そのイメージのまま試合に入ってしまい、ちょっと最初に浮足立ってしまったかなという反省が今となってはあります。戦う前から試合は始まっていたんですね。
だから国学院久我山さんも前夜祭の時のイメージに過度に引っ張られないようにしてほしいです。相手が強豪校であっても今となっては、そんなにレベル差はないですよ。
でも、国学院久我山は元々強豪だから、そこは心配いらないかな。前夜祭といってもオフィシャルな場だから、そこではしっかり堂々として、雰囲気に圧倒されないようにしてほしいですね。
田代(国学院久我山):いやいや、うちも強豪ではないですよ。でも、分かりました。どこが相手でも前夜祭で圧倒されないようにしますね。
林(立川):私が感じたのは、試合をやるだけでなくいろいろな仕事があるので役割を分けないと大変だなと。晴れの舞台ですから私たちの時も野球部以外にもいろいろなOBが観戦にも来てくれて学校のOBの一大イベントになりました。
それを実現できたことはよかったけど、どの部の誰がスタンドに来たかなどをチェックしたり準備する方は大変でしたね。
あと試合のアドバイスとしては絶対に先攻を取ってください。試合は本当に1時間半でスパッと終了しますので、全員が試合に出る可能性を少しでも上げるためにも先攻は必須ですよ。
倉本(日体大荏原):試合時間は確かにあっという間ですよね。我々が今となっては失敗したなと思うのは、行進の練習をもっとしとけばよかったですね。
開会式の行進はしっかり写真などにも残ります。どうしても久しぶりに行進をすると腕もちゃんと上がらないし、喋ってしまったりしてキョロキョロしちゃう。50人もメンバーいたら練習しないと絶対にそろわないですし、事前に練習をしておくことをお勧めします。

澤田(進行):えー!甲子園に出場する時に散々そこは言ったじゃないですか。手はちゃんと腕の高さまでこうあげる!!
東京選抜で甲子園に出たときは、合同の練習前に必ず行進の練習もしてましたよ。若手に嫌がられてもそこはちゃんとやるべきですよ!
酒井(小平):甲子園行ってからの練習じゃ遅いです。声を出す配置とかも大事だから。本番は入場曲やアナウンスもあるしよく聞こえないですよね。
林(立川):一番最初の感動する瞬間ですからね、入場行進は。なかなかその場でうまくやろうと思ってもできないですよ。僕らも2回出たけど行進は全然ぼろぼろです。
田代(国学院久我山):なるほどそうなんですね、行進は盲点でしたね。澤田さん、どうやって行進を指導していたんですか。
澤田(進行):手は腕の位置まで水平に上げて、足は膝からしっかりあげてこうっ。声がけ担当も前と真ん中と後ろにおいて。行進担当の役割もいた方がいいですよ。絶対に30分以上は練習しないとだめです。
倉本(日体大荏原):あとは基本的なことですけど忘れ物に注意ですね。優勝カップや優勝旗も持って行ってほしいですし、普段の試合と同様だけど、帽子やベルトなど基本的なものもですね。またスパイクの色は黒で統一です。
開会式はアップシューズで行進ですけど、その色も高校生のように整っていた方がかっこいいですよ。
また忘れ物したときに備えて、近隣のスポーツショップも調べといたほうがいいですね。
澤田(進行):マスターズも最初の頃はいろいろ揃っていないこともあったけど、今はもう揃えている方がいいよね。
倉本(日体大荏原):あとはもう遅刻ね、これ大事。前日に決起集会とかやって、朝起きれないとかならないように。
また家族も来たりして動くので、慣れない場所だから交通機関とかちゃんと調べてね。
田代(国学院久我山):みんないい大人なんだから、ちゃんと時間通り集まれって思っているんですけどね。
澤田(進行):これが大人じゃないやつがたくさんいるのよ、甲子園に来てはしゃぎすぎちゃうのかね(笑)
酒井(小平):僕らの時は前日に気合入れて、ホテルの駐車場で投球練習しすぎて、結局肩が疲れてしまって、試合の当日に火だるまになった人がいましたよ。だから、気を付けるのは前日の飲みすぎと投げすぎね(笑)
林(立川):これ実はうちのチームの甲子園の時のスケジュールですので参考までに差し上げます。
我々は試合の前に球場周辺でグランドを確保できたので前日練習もしています。
試合後には甲子園球場のラウンジをお借りして懇親会も開催したり、有志メンバーでゴルフコンペに行ったり、甲子園の博物館の見学に行ったり、本当に盛りだくさんでした。もう二日間でみんなヘロヘロです。
田代(国学院久我山):最終日は閉会式にも参加するんですか。
林(立川):出ることを義務付けられてはいないですよ。でも甲子園キャッチボールもあるから、多くの学校が参加しています。
特に2日目の学校は参加することが多いですね。
試合に関しては1時間半しかなく本当にあっという間です。球場に入るともう会場スタッフの誘導に従って動くので自由な時間はほとんどありません。
メンバーは初めから全部決めておかないと、全然対応できませんよ。我々は試合前から1回ごとに投手も打順も交代を全部決めてました。あと時間制限があるのでどんどん打たないと打順が回らない。基本的に好球必打でドンドン打っていくっていう方針ですね。

出場するにあたり準備段階を含め知っておいてほしいことは?

澤田(進行):他には、準備の段階も含めて何か田代さんに知っておいてほしいこともありますか。
倉本(日体大荏原):試合前のアップで室内練習場を使わせてくれるんですけど、当然室内なので狭いです。全員が一度にアップはできないので、5.6人ずつ順番決めて大急ぎでキャッチボールしないとだめですね。
また試合中もベンチ前以外の場所ではアップができないので、交代選手は体が冷えないようしっかり暖をとれる格好が必要です。当日、天候が暖かいといいんですけどね。
田代(国学院久我山):試合前のシートノックもないんでしたっけ?
倉本(日体大荏原):それもないです。次の試合の投手だけはブルペンを使わせてくれるんですけどね。自由にファウルグランドを使えるわけではない。でも芝生は本当に綺麗で気持ちいいですよ。
田代(国学院久我山):試合後は校歌斉唱もなし?
酒井(小平):試合後はないけど、事前にブラスバンドのボランティアの皆さんに校歌のCDや楽譜を渡しておくと試合中に演奏をしてくれます。応援してくれるブラスバンドが決まっているんです。これは是非やっておくといいですよ。
林(立川):我々の時は母校の吹奏楽部のOBが演奏したりもしてくれました。感動しましたね。それも一つの楽しみですよね。
澤田(進行):あと忘れてた。試合後には50人全員にインタビューもあります。インタビューエリアの通路に全員ならんでボランティアの人がインタビューしてくれます。
倉本(日体大荏原):甲子園の土ももらえますね。土を拾ったりするのは禁止なんですが、事前に土を集めといてもらってそれを瓶につめてもらえます。現役の甲子園みたいに土を集めることはできないので、どうしても他に土が欲しいならスパイクの土を大事に落とさないで持って帰ることですね。
酒井(小平):あとこれも思い出した。試合進行のこともあってストライクゾーンがかなり広いです。
2ストライク目にかなり外れていると思う球をストライクコールされて、あせって3球目にもっと外れている球に手を出すってことがありました。
澤田(進行):そう言えば俺も三球三振だったな・・(笑)

甲子園出場後、各チームどのような変化がありましたか?

澤田(進行):まあ思い出は尽きないけど、甲子園に出ることで各チーム変わったというかいい影響を受けることが多かったですよね。皆さんはいかがですか。
倉本(日体大荏原):うちのチームは現役時代に甲子園に出場した選手もほとんどいないので、なんとかもう一回行こうとテンションがありました。OB会も本当に活性化したし、現役チームにもいい影響を与えていると思います。
親子いや、親子以上年が離れていても、一緒に同じチームで野球ができれば一つのチームになれることを実感しました。
林(立川):我々もおかげさまでいい雰囲気でやらせてもらっています。
うちは最近は現役野球部がなかなか勝てないこともあり、卒業してからもマスターズに高いモチベーションで参加してくれています。
うまく若手のやる気と年配者の楽しみというのをまとめながら、これからも野球をやれればいいですよね。
田代(国学院久我山):一度甲子園に出てしまうとモチベーション的に下がってしまうなんてことはないですか。
林(立川):うちは全然そんなことはないですね。むしろもっとやろうやろうってモチベーションがあがりました。
酒井(小平):小平もだいぶ雰囲気はよくなりました。10年前に甲子園に出た若手がまたやる気を出してきてくれて。あとはもうちょっと人数が増えるといいんだけど。
田代(国学院久我山):うちは結構、高校時代にレギュラーでなかった選手が今は主力で試合に出ています。
高校時代のレギュラーメンバーは控えにいることが多いですが、それでも現役時代の恩返しとばかりに裏方に回ってくれています。
その点はとてもありがたいし、感謝していますね。
酒井(小平):それはとても素晴らしい流れだよね。当分、国学院久我山はいい雰囲気でくるから、これからも手強いね。

最後に東京代表・国学院久我山チームにエールをお願いします!

澤田(進行):でも、そんな簡単には連覇とかはさせないよ。ね、皆さん!
それではだいぶ田代さんにもいい情報を与えられたと思うので、みなさんから国学院久我山チームにエールをお願いします。
酒井(小平):連盟に参加して比較的すぐに甲子園に行けることができて、本当におめでとうございます。
やるからには勝ちは意識すると思うんだけど、まずは楽しんでほしいと思います。
甲子園に行くと、いい意味で雰囲気も変わるし、本当にいい結果を期待していますね。笑顔でまた戻ってきてください。
林(立川):勝つだけでなく楽しんで野球をやって下さい。せっかく出場する甲子園。メンバーみんなで聖地の土を踏んでほしいですね。我々も二回出場させてもらって、本当に生涯野球をプレーしたいと思いました。きっと国学院久我山のメンバーもそれを実感するでしょう。
倉本(日体大荏原):甲子園まで残りわずか。あっという間にその日が来ます。監督は苦労ばかりかもしれないけど、それでも楽しんでくださいね。
澤田(進行):臆することもなく、羽目を外しすぎないようにして(笑)、堂々と東京の代表として甲子園を楽しんでくださいね。
本当に皆さん、お忙しい中、ありがとうございました。
国学院久我山の皆さん。東京連盟の加盟校全員で応援しています。全員でいい笑顔で甲子園を楽しんできてください!